ロシア・ウクライナ戦争におけるもう一つの戦争

ロシア・ウクライナ戦争における薬物蔓延は、単なる軍紀の乱れという枠を超え、戦争の長期化と非人道性が生み出した構造的な病理である。兵士たちは、国家の支援が届かない極限状態の中で、自らの精神を保つため、あるいは単に生き延びるために、薬物に手を伸ばさざるをえない状況に追い込まれている。
園田寿 2026.04.23
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はじめに

戦争と薬物は、分かち難く結びついてきた。古くは戦闘前の恐怖を和らげるためのアルコールに始まり、近代戦、特にドイツや日本では、疲労を麻痺させ、覚醒状態を維持するためのアンフェタミン(覚醒剤)などの合成刺激薬が盛んに用いられてきた。現在、泥沼の様相を呈しているロシア・ウクライナ戦争も、その例外ではない。極限状態に置かれた兵士たちの間で、違法薬物や処方薬の乱用がかつてない規模で蔓延しているといわれており、戦場の様相をさらに凄惨なものにしている。

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