「痛みの不均衡分配」について
「痛みの不均衡分配」とは、グローバル・サウスの貧困層の「痛み」を犯罪問題の中で見えなくしながら、グローバル・ノースの巨大資本が「痛みの緩和を享受する身体」を決定するという冷酷な現実に他ならない。なぜ、このような事態になってしまったのか。
園田寿
2026.08.17
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はじめに
「痛みの不均衡分配(global pain divide)」とは、鎮痛剤による肉体的苦痛の管理が地球規模で不平等に分配されている状態のことである。世界人口の83%を占める発展途上国(低中所得国=Low- and Middle-Income Countries、LMICs)では、末期がんの疼痛等の激痛を緩和する医療用モルヒネへのアクセスが事実上皆無に等しく、地球上全体には有効な必須医薬品が存在するにもかかわらず毎年数百万人が回避可能な激痛のなかで死を迎えている〈GCDP, 2015, 593; Tinasti, 2026, 27-28〉。