世界は売買春とどう向き合ってきたか

本稿は、売買春をめぐる歴史的変遷や各国の法制度を振り返り、道徳的パターナリズムに基づく犯罪化を批判し、セックスワーカーの安全と人権を守る「完全非犯罪化」およびハームリダクションの必要性を論じるものである。特に、近年の北欧モデル導入や日本の売春防止法改正議論が、当事者を地下化したり、暴力に晒すことになる「ハームプロダクション」を批判し、当事者主体の法思想への転換を主張するものである。
園田寿 2026.10.07
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――目次――

  • はじめに

  • 第1 売春の誕生と「必要悪」としての許容

  •  1-1 原始社会から貨幣経済の確立にいたる売春の起源

  •  1-2 キリスト教道徳の呪縛とダブル・スタンダードの形成

  •  1-3 娼婦への社会的烙印と道徳的パターナリズムの定着

  • 第2 近代国家の公娼制度と社会浄化運動

  •  2-1 梅毒の恐怖と管理売春システム

  •  2-2 廃止運動の台頭と「白人奴隷」パニック

  •  2-3 社会衛生の思想と戦時下の強権的抑圧

  • 第3 戦後の国際協調と「被害者」としての位置づけ

  • 第4 現代フェミニズムと「性の商品化」論争

  •  4-1 ラディカル・フェミニズムとアボリショニズム(廃止論)の論理

  •  4-2 セックスワーカーの反論と「セックスワーク(労働)」の再定義

  • 第5 ハームリダクションの概念と法規制モデル

  •  5-1 ハームリダクションの起源と売買春問題への理論的接続

  •  5-2 4つの主要な法的モデル

  • 第6 各規制モデルの批判的検討

  •  6-1 北欧モデル(買春処罰法)が引き起こす地下化と事実上の犯罪化

  •  6-2 合法化(管理主義)モデルの欺瞞と二重構造の罠

  •  6-3 完全非犯罪化モデルによる真のハームリダクションの達成

  • 第7 日本の現状と法改正論議

  •  7-1 日本の売春防止法が抱える歪んだ法体系と「見えない買春の現場」

  •  7-2 国内における買春処罰化(北欧モデル導入)議論

  •  7-3 売春防止法における公然勧誘罪の拡張と「社会秩序の維持」―法務省検討会の報告書案(改訂版)について―

  •   7-3-1.公然勧誘罪の拡張議論

  •   7-3-2.「社会の風紀維持」を理由とする刑事罰の法的限界

  •   7-3-3.現行刑法における社会秩序の維持

  •   7-3-4.公然勧誘罪の拡張がもたらす「ハームプロダクション」

  •   7-3-5.社会秩序の維持と刑罰の相性

  • 結論:将来への展望

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