国際条約における規制薬物のスケジューリング(等級付け)について
国際的な薬物統制システムにおける薬物分類の基準は、表面的にはWHOによる薬理学的・医学的なリスク評価と治療的有用性の相関に基づいているが、その実態は、国際政治における権力構造、歴史的な伝統、そして特定の社会規範を法的に固定化するという側面を色濃く持っている。
園田寿
2026.05.04
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―目次―
第1部 国際条約におけるスケジューリング
序:スケジューリング・システムの意義と概念
第1:スケジューリング・システムの歴史的起源
第2:現行の国際薬物統制条約におけるスケジュール構造
1. 1961年麻薬単一条約のスケジュール
2. 1971年向精神薬条約のスケジュール
3. 1988年条約の前駆物質テーブル
第3:スケジューリングの決定プロセスと権限の分配
第4:現行スケジューリングシステムの内包する矛盾と課題
1. 「類似性原理」と「変換性原理」の硬直性
2. 科学的評価に対する政治的介入
3. 新規向精神薬(NPS)への対応の遅滞
4. 医療・科学的アクセスへの深刻な阻害
第5:結論
第2部 日本でスケジューリングが採用されなかったのはなぜか
序:薬物政策のガラパゴス化
第1:個別立法によるパッチワーク的法体系
第2:「成分」ではなく「部位」を対象とする非科学的規制の固守
第3:「ダメ。ゼッタイ。」に象徴される絶対禁止主義と検証の忌避
第4:結びーパラダイムシフトの要請とハーム・リダクションへの展望―