急増する現代の依存症を説明する辺縁系資本主義とは
デヴィッド・T・コートライトは、現代資本主義の特定の形態を「辺縁系資本主義」と呼ぶ。これは、快楽・欲望・動機づけをつかさどる脳の古い部分を標的とし、依存症を促す商品やサービスを大量に提供する経済システムである。酒、タバコ、ギャンブル、ファストフード、デジタルコンテンツなどがその例であり、企業は依存傾向のある少数のヘビーユーザーから利益の大半を得る。
園田寿
2025.04.08
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1.デヴィッド・T・コートライトの基本的視座
歴史家であり依存症の専門家であるデヴィッド・T・コートライトは、最近の著書『依存症の時代―悪習はいかにしてビッグビジネスになったのか』(David T. Courtwright, The Age of Addiction: How Bad Habits Became Big Business, 2021)の中で、「辺縁系資本主義」(limbic capitalism)という概念を通じて、急増する依存症と現代資本主義の興味深い関係を描き出している。