【番外編】死者の名誉毀損罪における虚偽性の認識

死者に対する名誉毀損罪(刑法第230条2項)は、従来ほとんど議論されることのなかった犯罪である。NHK党の立花孝志氏が同罪で逮捕されたことでにわかに関心が向いた。同罪は虚偽の事実を摘示することが要件であり、これを認識することが故意の内容である。しかし、確たる根拠もなく、軽率に真実だと思い込んでいたような場合も故意がなかった(無罪)とされるのだろうか。
園田寿 2025.11.20
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1.はじめに

NHK党の立花孝志氏が名誉毀損で逮捕された。かりに裁判になっても「真実相当性があるので無罪だ」とかれは主張していたが、最近の報道によれば、真実相当性は主張せず、逮捕事実を認めて謝罪するとのことであった。

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