ポケットの中のカジノ

現代社会におけるギャンブル依存の裏には、個人の意志の弱さではなく、生存本能を司る脳の部位を標的にした「大脳辺縁系資本主義」による構造的な問題がある。デジタル技術や巧妙なアルゴリズムは、ドーパミンによる「勝利の期待」を操作し、脳に病的学習を強制する。これに対処するのに、厳罰や社会的制裁は脳にストレスを与えるだけで逆効果である。
園田寿 2026.02.04
サポートメンバー限定

1. 人はなぜギャンブルに惹かれるのか

今の社会で人びとがギャンブルに惹かれ、時に破滅的な没入を余儀なくされるのは、その裏に娯楽の範疇を超えた構造的な「罠」が存在するからである。歴史学者デヴィッド・T・コートライトは、現代の経済システムが、ヒトの進化の過程で獲得されてきた生存本能を巧みにハッキングし、過剰消費と依存を意図的に作り出していると告発している。かれはこのような経済システムを「大脳辺縁系資本主義」(limbic capitalism)と呼んでいる。

この記事はサポートメンバー限定です

続きは、5246文字あります。

下記からメールアドレスを入力し、サポートメンバー登録することで読むことができます

登録する

すでに登録された方はこちら

誰でも
大大阪時代を再構築した「100年前のカジノ」を
誰でも
現代社会におけるギャンブルの問題性
誰でも
薬物で精神を変容させること
サポートメンバー限定
覚醒剤取締法と麻向法で「使用」と「施用」の意味がまったく異なる点につい...
誰でも
「麻」と「痲」:言葉の統合が招いた混迷
サポートメンバー限定
ベネズエラ侵攻とポッセ・コミタトゥス法―アメリカの薬物政策における軍の...
サポートメンバー限定
アヘン戦争とその後―薬物懲罰主義の源流―
サポートメンバー限定
「商品としての薬物」から「禁圧すべき悪」への変質